Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

護岸工事をする南端は、この島ではもっとも狭く、端から端まで約五十間あまりしかなかった。海は遠浅で、干潮のときには平生でも二、三町は底があらわれるし、月の初めと満月の前後には十四、五町も水が退いた。――島の他の三方は石垣を組んであるが、その南端は海の波をじかにかぶるので、三年に一度くらいは暴風雨のために崩されるという。こんどはそんなことのないようにと、水際を十尺以上も掘り、杉丸太の杭を深く打ち込んで、地固めから頑丈に工事を進めた。

もっこ部屋へはいって四、五日したころ、栄二は人足なかまの一人に注意をひかれた。二十八、九になる男で、顎のそげたような顔に、頬が尖り、誰にでもあいそ笑いをし、とりいるような口をきく。くぼんだ眼はおちつきなく、絶えまなしにあたりを見まわしているくせに、人の顔をまともに見ることはなかった。

――どこかで見た顔だな、と栄二は心の中で呟いた。慥かに見覚えのある顔だぞ。

まもなくその男が次郎吉という名だとわかったが、どこで会ったかは思いだせなかった。そうしてやがて、与平という男と近しくなり、次郎吉のことは忘れてしまった。

「私は与平という者です」