Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

一の五

おそのはそんなような恰好をしてみせたが、栄二はなにも云わずに出ていった。

一の五

用が済んだので、栄二は先に勝手口から出た。見本紙や尺取りの帳面を入れた包みを持って、格子戸を出るとおすえの姿が見えた。井戸のところに立っていて、待っていたようにこっちへ走って来、栄二の眼をみつめながら頬笑んだ。みつめる眼にはいっしょうけんめいな、思い詰めたような光があり、その頬笑みはまるで泣きべそでもかくように歪んでいた。

「さっきのこと、堪忍して下さいね」

「なにをさ」と栄二がきき返した。

「大きくなったって云ったこと」とおすえは眼をそらさずに云った、「あたしほんとに、立派になったって云いたかったんです」

「いいよ、そんなこと」栄二は包みを持ち直しながら云った、「怒ってなんかいやしねえよ」

「ほんとね」と囁きかけながら、おすえは涙をこぼした、「よかったわ」

「なんだ、あんなこと、つまらねえ」

「あたし初めて栄さんに会ったとき十三だったけれど、栄さんのこと怒りっぽいこわい人だなって、思ったのを覚えてるわ」

栄二はなにか云いそうにして赤くなり、それから怒ったような口ぶりで云った、「――おれだっておめえのこと覚えてたよ」