Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

いまは正月の十九日で、彼は五、六日まえからあるく稽古を始め、その日も朝から、まをおいては幾たびも繰返した。清七の作ってくれた撞木杖を腋の下にかって、土間の中をゆっくりと、一歩ずつ拾うようにあるくのである。――暮のうちから立つ練習はしていたが、あるき始めてからも、さいしょは躯の中心がとれず、ともするとぐらぐらとよろけた。与平はあせるなあせるなと、子供をあやすように側をはなれず、少しでもあぶないと見るとすぐに手を貸そうとする。うるさくって迷惑なのだが、栄二はおとなしく与平のするままにさせていた。

「今日で六日になるね」と与平が云った、「いっぺんにそう続けては却って悪いだろう、二、三日休んだほうがいいよ」

そうしようと答えて、栄二は眼をつむった。

いまみた夢の印象は、強烈な現実感で頭にやきついた。死なないでくれと、泣きながら訴えるさぶの顔と声とは、特になまなましくあざやかで、眼がさめてからも、まったく夢のようには思えないのである。

――そうだ、夢じゃあない、これは現実のことだ、と栄二は思った。いまこの瞬間にも、さぶはおれのために心配しているだろう、昔からそうだった、おれのまわりにはさぶの心と眼が、片ときもはなれず付いてまわっていたのだ。