Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans

Aozora Bunko

栄二が部屋へ戻り、閉めてある引戸をあけて、杖に重心をかけながら土間へはいると、りゅうがすり寄って来て、いきなり杖を足で払った。とつぜんのことで、栄二は悪いほうの足を痛めないようにするのが精いっぱいだった。彼は横さまに転倒し、そのままの姿勢でりゅうを見ながら、転ぶときにも手から放さなかった杖を、そろそろと引きよせた。

「ちんばだと思うからこっちはよけているのに」とりゅうは薄笑いをうかべながら云った、「なにが気にいらなくって突っかかるんだ、ここはおめえ一人の部屋じゃあねえんだぜ」

部屋の中はしんとなった。荒れだすまえにぱたっと風が死んだような、緊張した沈黙がひろがり、息をする者もないかと思えた。だがすぐに、誰かが板の間をあるいて来て、栄二の眼の前へ三本の丸薪を投げ出した。薪はにぶい音をたてて転がり、一本は栄二の肩に当った。

「これをどうするつもりだ」と板の間から問いかけてきた、義一の声であった、「こんな物でなにをしようってんだ」

栄二は静かに起きあがり、足を庇いながら、撞木杖にすがって立った。

「わるかったな」と栄二はりゅうに云った、「うっかりしてたんだ、勘弁してくれ」