Classiques japonais avec furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 241 861 caractères · 480 écrans
左膳は、壺をねらっている連中を、数えたてているのです。
「二つ……道場の峰丹波の奴ばら」しばらく間。「三つ、あの得体の知れぬ蒲生泰軒。四つ、どうやら公儀の手も、動いておるようにも思われる――五番目には、かく言うおれと……はッはッは、いや、おれの片眼には、江戸じゅうの、イヤ、日本中の人間が、あの茶壺をねらっているように思われるワ。お藤、泊めてもらうぞ」
ごろっと、壁際に横になった。
大刀を枕元にひきつけて、左手の手まくら。
「いや、知らぬうちに、後生大事に鍋を秘蔵しておったとは、われながら笑止。なに、そのうちに、取り返すまでのことだ――」
無言におちたかと思うと、左膳は、いつのまにか眠りかけて、なんの屈託もなさそうな軽い鼾が……。
「左膳の殿様、そんなところにおやすみになっては……」
お藤は静かに起って、着ている市松格子の半纏をぬいで、左膳の寝姿へ掛けたのち、にっこりチョビ安をかえりみ、
「兄ちゃんは、あたしといっしょに寝ようね。御迷惑?」
さびしそうな笑顔で、寝床を敷きにかかる。
その夜からだ、左膳、お藤、チョビ安の三人が、この長屋にふしぎな一家族を作って、おもむろに、壺奪還の術策をめぐらすことになったのは。