Classiques japonais avec furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 241 861 caractères · 480 écrans
みんな助かったという顔つきで、ホッとした欣びは、おおいようもなく、その面色にみなぎっているので。
なぜこの田丸主水正の鉢だけ、金魚が死んだか?
ナアニ、こいつは死ぬわけだ。この鉢だけ、清水のかわりに、熱湯が入れてあるのだ。
シンシンとたぎりたって、湯気もあげず、独楽のように静かに澄みきっている熱湯――しかも、膝さき三尺離して置くのだから、他の一列の冷水の鉢と、まったくおなじに見えて、どうにも区別がつかない。
指もはいらない熱湯なんだから、これじゃあ金魚だってたまらない。たちまちチリチリと白くあがって、金魚の白茹ができてしまうわけ。
この、金魚の死んだ不可思議な現象こそは、東照宮さまの御神託で、その者に修営してもらいたい……という日光様のお望みなんだそうだが、インチキに使われる金魚こそ、いい災難。
「煮ても焼いても食えねえ、あいつは金魚みたいなやつだ、なんてえことをいうが、冗談じゃアねえ。上には上があらあ」
と、断末魔の金魚が、苦笑しました。
二十年目の日光大修理は、こうして、これと思う者の前へ熱湯の鉢を出しておいて、決めたのだった。
子供だましのようだが、こんな機関があろうとは知らないから、田丸主水正は、まっ蒼な顔――。