Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
あの時のは、ろう製の仮面であった。だが、今足の下にころがっている怪物は、仮面をかぶっているのではない。本当に、唇がないのだ。鼻がかけているのだ。顔中がピカピカと赤はげになっているのだ。しかも、それが生前の二倍の大きさにふくれ上って、何とも形容の出来ない、相貌を呈していた。
恒川氏は不思議な昏迷を感じた。彼自身の視覚を信じ得ないような、妙な不安に陥った。
唇のない男との二度目の対面、しかもふるえる懐中電燈の白い光に照らされた、井戸の底で、全く不意打ちに、彼奴の角力取みたいにはれ上った死骸を見たのだ。警部が我にもあらず、逃げ出し相にしたのは、決して無理ではない。
「何者です。こいつは?」
やっと気をとりなおして、恒川氏は、井戸の外の明智にたずねかけた。
「唇のない男」の存在は知り過ぎる程知っている。だが、彼がどこの何という奴だかは、誰も知らないのだ。
「書斎の天井裏に住んでいて、小川正一を殺した奴です」
明智がやみの中から答える。
成程、今のお芝居で、そこまで分っている。小川正一になぞらえたわら人形が黒覆面の一寸法師に殺された。その一寸法師がまた、マスクの怪物にしめ殺された。