Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

「ア、誰か梯子を昇って行く。お巡りさんだ。お巡りさんだ。今に正体が分りますよ。あれがどこの娘だか」

如何にもその時、報告に接して駈けつけた一人の警官が、靴を脱いで、慣れぬ煙突昇りをやっていた。彼も亦、何かしら突飛な犯罪事件に相違ないと考えたからだ。

警官がやっと頂上に昇りつくと、びっくりする程美しい女の足が、大空を背景にして、実に不作法な恰好で、すぐ目の前にニュッと突出していた。

その裸体の足をかすめて、薄い煙がモヤモヤと立昇っていた。ムッと鼻をつく火気が感じられた。

「俺一人じゃ迚もおろせないぞ。町内の仕事師でも頼まなくっちゃあ。だが、兎も角様子を見て見よう。まだ助かるかも知れない」

彼は用心深く、熱い煙突の縁につかまって、煙をよけながら、ソッと中を覗いて見た。

そこには、二本の脚に続いて、娘の胴体が、多分真裸体の胴体が、ある筈であった。ところが、実に不思議なことには、いくら見直しても、煙突の内部は、真黒な煤ばかりで、あるべき筈の娘の胴体は、何かの幻術でかき消しでもした様に、全く見えないのであった。

胴体は勿論、顔も、手も、なんにもなくて、ただ太腿からの両脚だけが、煙突の縁を支えにして、斜に突込んであるばかりであった。