Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

こんなにも実在の人物によく似た人形のあろう道理がない。

二人の店員は、暫くの間、まるで、彼等自身が男のマネキン人形ででもある様に、立ちすくんでいたが、やがて、おずおずと人形の側に近附き、洋装の上から、ソッと手足に触って見た。

外部からも、その一瞬間、彼等の表情がサッと変るのが眺められた。

一人の店員は、何を発見したのか、大きく口を開いて叫びながら、マネキンの――相川珠子の死体の――胸を指さしている。

群集の視線が、その一点に集中された。

アア、蠍だ。真赤な蠍だ。

もう一点の疑うところもない。殺人鬼はここにも、彼等の紋章を残して行くことを忘れなかったのだ。

二人の店員は、そそくさと店内に姿を消した。そして、暫くすると、パッと照明が消えて、ショウ・ウインドウの前面の重い鎧戸が、ガラガラとおり始めた。

今まで鎮まり返っていた群集が、俄かにざわめき出した。あらゆる驚きの形容詞が、百千の口をついてほとばしった。そして、群集は刻一刻その数を増して行った。電車線路を横切って、殺到する人々が、暫くはあとを絶たなかった。

だが、奇怪なのは、この騒ぎの発頭人であるインバネスの男であった。