Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

闇の中にじっと踞んでいると、靴の底から寒さが這い上って来る。寒さの為にか、恐ろしさにか、身体がガクガクと震えて来るのを、彼は歯を噛みしめて、じっと堪えながら、実に長い長い時間を、一つの黒い石ころの様に、身動きもしないで待構えていた。

やがて、彼が庭内に忍び込んでから二時間程もたった時分、彼の予想は恐ろしくも適中して、さい前彼が乗越した板塀の上の星空に、何ともえたいの知れぬ物の姿が、ニュッと現われた。

星の光と、闇に慣れた視力で、その物の姿を、やや明瞭に見て取ることが出来たが、如何にもそれは、驚くべく巨大な一匹の蠍に相違なかった。

そいつは、実に不器用な恰好で塀を乗り越すと、転がる様に地上に飛び降りて、そこの闇にじっと横わったまま、邸内の気配を窺うのか、暫くは身動きもしなかった。

守は今、その全身を朧に眺めることが出来たが、毒蜘蛛を千倍に拡大した様な、醜怪兇悪な妖虫の姿に、思わずゾッと総毛立たないではいられなかった。

無論こんな怪物が東京の真中に棲息している筈はない。子供だましの作り物に極まっている。だが、それとは承知しながらも、闇の中に蠢く、余りに突飛な物の形に、脅えないではいられなかった。