Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
「だって親方、お指図通りの廻り道をして、もう三河島へ来てしまったんだぜ。もう五六町で目当ての場所だ」
「ウン、そうか。もう来たのか。じゃ仕方がねえ。早くあの幽霊屋敷へつけてくんな」
珠子は息苦しい猿轡に、悪夢から醒めて、現実の意識でこの会話を聞取った。そして、幽霊屋敷という言葉に、今までとは別様な、もっと子供らしい恐怖に脅えないではいられなかった。
彼女も窓の外を見ることが出来たが、そこはまばらに街燈の立並んだ、広いアスファルトの新道路であった。皆戸をたててしまっていたけれど、両側には場末らしい店屋が軒をつらねていた。
こんなゴタゴタした場末町の近くに、幽霊屋敷があるのかしら。幽霊屋敷なんてもっと荒涼とした野末か山の奥にふさわしいものではないだろうかと、世間を知らぬ少女にも、何とやらいぶかしく感じられた。
アア、幽霊屋敷。嘗つて女優春川月子が、世にも無残な死をとげたのが、場所こそ違え、やっぱり化物屋敷と云われている空家の中ではなかったか。赤い蠍の怪物は、殊更にそういういまわしい場所を選んでは、犠牲を屠るという、怪物らしい好みを持っているではないだろうか。