Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans
その部屋からは、中庭の端しか見えない。向うは赭土の崖で、庭は右へと広くなっているが、ここからの眺めは、ひと跨ぎの芝生と、鼻につかえそうな崖であった。
女の声は、右のほうで聞えた。それはいかにも嬌声という感じの、きらきらする声であったが、しだいにこちらへ近くなって来、やがて、その狭い庭の中へ、一人の若者が現われた。……それは五番町の遠藤千之助であった。
半之助はぼんやりと彼を見た。そんなところへ、どうして千之助が現われたか、まるで理解がつかなかったのだ。
「やあ、しばらく」
千之助はこっちを認め、例の人をばかにしたような、うす笑いをしながら云った。
「御栄転だそうですね、御薬園だというじゃありませんか、やっぱり土を掘ったりこやしを撒いたりするんですか」
万事承知のいやがらせである。
だがそこへ、この家の二女の、佐枝が現われた。つまり、はでな声は彼女であって、千之助を追って来たわけだろう。半之助などは見向きもせず、しかし充分以上に意識して、「だめですわ、遠藤さま、貴方の番じゃございませんの、ねえ、早くいらしって」
ねばねばするような甘い声で、しかも千之助の腕を取って、しなしなと躯をくねらせた。