Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans
やまない雨
一
やまない雨
一
八月にはいるとまもなく、予定より少し早かったが、半之助は駒場へ移った。
母はそれまでなにも知らなかったので、もう逢えなくなる別れでもあるかのように、黙っていたことを恨み、自分もいっしょにゆく、などと泣き声をあげるので、云いなだめるのに、かなり骨を折った。
――月に二度くらいは必ず帰って来ますよ。
――それなら荷物をそんなに持ってゆくことはないでしょう。
――荷物といってもおもに本ですよ。
そんな問答もした。また、駒場ではおそらく退屈だろう、と考えたので、読みたいと思いながら読めずにいた本は、仏教関係のものまで包んだ。そのために、二日ばかり土蔵の中を掻きまわしたが、祖父の蔵書の入っている長持の中をみているうち、妙な物をみつけだした。
油紙でいやに丹念に包んだ、書類のような包で、表に「厳秘」と、父の手で書いてあった。
――なんだろう。
しばらく見ていたが、厳秘と書いてあるところから、ことによると他人に見られたくない父の私物か、と思い、そのまま元へ返そうとして、そして、あっと声をあげた。
――あれだ。
それは叔父の遺品であった。五番町の、遠藤兵庫が、ふしぎな失踪をしたあと、下僕が持って来たもので、中には、甲府勤番ちゅうの日記や、見聞記や、かんば沢に関する調書などが、ある筈である。