Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans
――江戸の築地の海、いくらやっても一尾も捉まらないし、そのうちに乙女のことを笑う者がいたから、あたしうんとこらしめてやったわ。
――どんなふうにです。
――よもや云えやしませんわ、そんなこと、乙女だって女ですもの。
そしてさも可笑しそうに、含み笑いをした。
いつか蜂蜜が採れたといって、大きな瓶に一杯、香ばしい匂いのする蜜を、下僕に担がせて来て呉れた。山葡萄で醸した酒とか、煎り煮に使う猪の脂肪とか、丸茂で喰べた珍しい品が、つぎつぎと運ばれた。
日々は極めて単純に経っていった。昼のうちは近くの山や、谷や、高原を歩きまわるか、水を汲み、薪を作ることに過した。夜はたいてい早く寝るが、雨の日や、眠れない夜などには、机に向って「かんば沢」を中心とした、これまでの出来ごとを、詳しく書き綴ったり、また、飽きるまで、ものを考えたりした。
江戸にいたときの、やりきれない倦怠や、よりどころのない空虚さや、孤独感などは、もう殆んどおこらなくなった。
これが意義のある生活、生き甲斐のある生活だ、とはいえないにしても、自分が解放され、自由になったこと、ここからなにかが始まる(少なくともそう思える)ということはできた。