Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 659 caractères · 372 écrans
年のせいもあろうが、いとど憐れを覚えがちになった。
殊に、戦国の、しかも根本的に、弱いものを持って生れた女どもは、秀吉にとり、母でも、姉でも、妹でも、側室たちでも、一様にみな、不愍な者のかたまりであった。
異父弟の、羽柴秀長も、紀泉二ヵ国の領主として、今では、大坂城中の有数な大名のひとりではあったが、もとより義兄秀吉の眼から見れば、これも不愍な生い立ちの弟だった。
母は同じだが、秀吉の父は弥右衛門、秀長の父は、後に入夫した筑阿弥という男である。――この筑阿弥が、幼い頃の秀吉を、いかに無慈悲に扱っていたかを、弟の秀長は、覚えている。
秀吉よりは五ツ年下だが、母や姉にも聞いて、年ふる程、また今のような一門の栄位を共にする身となる程、強く思い出されてならない。
何しろ、筑阿弥は、呑ンベで、博奕ずきで、怠け者で、継子だろうが実子だろうが、子どもへの愛情なんてものは、家で見せたことがない。
母を泣かせたことは、子どもらがみな、童心に沁みて見て来ている。――だから、その筑阿弥が病死したといっても、泣いたのは母だけで、子どもは皆、ケロとしていた。
秀吉などは、まだ日吉の頃の流浪中で、その死に顔も見なかった。