Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
蒲生賢秀以下の留守居衆が、信長の妻子眷族をつれて悉く日野の城へ退いていた後だし、町の家々にも、暖簾も見えず商品の影もない。
しかし天下第一の大城の天守には、多年蓄積されていた金銀や名物ものなどの財宝がそのままあった。
城を収めた後、光秀は、それを見た。けれど彼の心は少しも富まなかった。却って反対な感情が呼び起された。
(自分の求めているものはこんな物ではない。こんな物を求めてしたと考えられたとは心外だ)
光秀は庫中の金銀を悉く取り出させた。そして部下の賞与や寄附や治民の費用に惜し気なく撒いた。小禄の者にすら数百両ずつ与え、上将たちの賞賜には、三千両、五千両と頒け与えた。
安土に居あわせて、その状を見ていた宣教師のオルガンチノは、
「日向どのには、幸運を楽しむ日もそう長くないことを、もう自覚しておいでとみえる」
と、独りつぶやいた。異国人の眼にすら光秀の無理な力で持った「天下人」の威権はそう観察されていた。
――われ光秀はいったい何を求めている者か。
光秀はそれを自分にしばしば問うてみる。「天下人たらん」と、当然な答が湧く。しかし、どうしたものか、われながらその響きはうつろにしか血に響かない。