Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
と、手製の粽を献上した。
これらの者を迎えて、扈従の将星を左右に繞らし、悠然と床几に倚っている光秀のすがたには、まさに新しき「天下人」たるの威風に欠けるものはなかった。
侍座の一将は、京都市民のよろこびと、献上の粽とを、光秀の前に披露して後、一同へ向って、
「洛内の取締りは、厳に戒めてあるが、なお日も浅いゆえ、さまざまな流言も撒かれ、陰にあっては、御行動を誹謗し奉るような説をなす者もあろう。しかし政をなす主権者に悪行あるときは、それを廃せし例は、わが朝のみならず、唐土にもあることで、周武がその主紂王を弑し、諸民の困窮を救い、周の八百六十年の基を開いたのを見てもわかろう。わけてわが日の本は上に万代不易の大君がおわしての武門であり、将軍職でもあれば、決して一信長が絶対の天下人でなければならぬ理由はない。汝らも、この辺をよく弁えて、市民の者が妄説に惑わされたりすることのないようによく努めい」
と、申し渡した。
光秀も、一言与えた。そして折角、志の粽だからといって、彼らのいる前で、そのうちの一つを取って喰べた。
ところが、剥ぎ取った粽の笹が、まだ少しこびりついていたとみえて、光秀は横を向いて舌のさきからベッと吐き捨てた。