Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

人影が一つ、城門の上に見られた。そこから寄手の陣へむかって、こう呶鳴っているのである。

三宅藤兵衛の股肱、溝尾五右衛門であった。この申し入れは、もちろん寄手にゆるされた。五右衛門は、居る所から直ちに開門を命じ、城兵数百が事なく敵の手に接収されたのを見届けると、

「どれ、俺も行こうか」

と、そこから降りた。

しかし彼は、城外へは出て来なかった。間もなく櫓の下あたりから再び火焔が立った。寄手は一斉になだれ込んだ。そして忽ち消火に当ったが、五右衛門はすでに腹を切って火中の白骨となっていた。

宵の頃、円明寺川の激戦にやぶれ、重傷の身を、駒の背に抱きあげられ、舎弟の藤三に守られて、辛くも戦場を脱した藤田伝五行政は、夜の明け方ちかい頃、ようやく淀の町はずれに辿りついていた。

「兄上。しばらくこれでお待ち下さい」

と、舎弟の藤三行久が、橋の畔をしきりに歩きまわるので、伝五は、

「行久。何を探すか」

とたずねた。藤三は答えて。――小舟を求めて、兄上をお落し申し上げんつもりですと云った。

伝五は、憤然と叱った。

「殿の御生死も知らぬうちに、我ひとり安き道に就けようか」

――が、そのうちに、勝龍寺城の落去も伝わり、光秀の死も聞えて来たので、兄弟は、淀の小橋のたもとに坐って、見事に刺し交えて果てた。