Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
敵の真っただ中を割って通るのが、どこよりもいちばん安いのだ。わしについて通れ」
と、やにわに、馬に鞭打って、焔の町中を駈け出した。
火ばかりではない。その姿を狙って、矢や弾丸も彼へ蒐まった。光春は、左の肱を曲げて、鎧の袖を額のまえに翳し、馬のたてがみに俯伏し気味に突撃して行った。
「それ、殿につづけ」
兄弟も、他の部下もわあッと、咽びながら、火の下を駈けた。
辻へ出た。
登れば逢坂、西は三井寺。また一方の道は柳ヶ崎の浜辺へ出る。
ここの要所を占めていたのは、堀秀政の本隊だった。もちろん久太郎秀政自身も、この中にいるはずである。当然、光春以下、明智勢はそれへぶつかってゆき、堀隊もまた猛然と邀え撃った。馬のうごきも槍の柄も意のままにならないほど道幅も狭い辻である。しばしの市街戦は、焼け落ちる建物のひびきと、人間の咆哮と、血の黒煙で、夜か昼かも分らなかった。
ここの辻は、坂の裾の三叉路なので、当然、坂上を取っている堀軍は、地形上からも有利であった。
そのほかすべての条件からも、光春主従の終りは、いまここが、その時と場所であるとしか見えなかった。
けれど光春以下二百の兵は、その絶対的なものを、いわゆる「ものともしない」