Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

」

老婦やお庄が、昏睡状態にある患者の傍で、医師からこう言い渡されるのも、もう二、三度になった。

息を吐き返して来ると、患者は暗い穴の底から、縁に立っている人を見あげるように、人々の顔を捜した。

「私だよ。」母親はその手を握って、娘の頬のところへ自分の顔を摺り寄せて行った。

患者は心から疲れたような、長い厭な唸り声を立てた。

「おお可哀そうだな。」と、母親は鼻を塞らせた。

病人の顔は少しずつはっきりして来た。

「そこの茶箪笥に、私の湯呑があったかね。」患者はにちゃにちゃする口をもがもがさせた。

看護婦が、渇きを止めるような薬を、管で少しずつ口へ注いでやった。

「病気が癒ったら、床あげに弁松からおいしいものをたくさん取って、食べましょうね。」患者は思い出したように言い出して、衆を笑わせた。

「ああ、それどころじゃない。どんなお金のかかることでもして上げるで、もう一度癒っておくれよ。」母親は泣くような声を出した。

集まって来た人たちは、また寝台を離れて、床のうえに坐った。

「この塩梅じゃ、また二、三日もちますかね。」

「お庄ちゃん、叔父さんは……。」患者はうとうとしたかと思うと、また訊きだした。