Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
三十八
刳盆や糸捲きのような土産物を、こてこて持ち込んで、湯治から帰って来た叔母は、行った時から見ると、血色が多少よくなっていた。体の肉にも締りが出来て帰った当座は食も進み夜も心持よく眠れた。
叔父がまた旅へ出ることになった。線路の枕木を切り出す山林を見に、栗山の方へ、仲間と一緒に出向いて行った。大分費い込みの出来た叔父は一層儲け口を見脱すまいとして燥っていた。
「これが当れば、お前にだって水仕はさしちゃおかん。」と、叔父はお庄にも悦ばせた。
叔父は行ったきり、いつまでも今市の方に引っかかっていた。一行はそこから馬に乗って、栗山の方へ深く入って行かなければならなかった。日光で遊んでいるような噂も伝わった。
霖雨で、大谷川の激流に水が出たということが、新聞で解った時、叔母は蒼くなって心配した。そしてお庄と一緒に良人の安否を八方へ聴き合わした。
十月の末に、家から電報で取り寄せた旅費で、からがら帰って来た叔父はひどい睾丸炎で身動きもならなかった。
三十八
お浜という茶屋の女中をつれ出して、近所の料理屋へ行った叔父を送り出してから、叔母は屈托そうな顔をして、今紙入れを出してやった手箪笥の鍵を弄りながら、そこに落胆して坐った。