Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

浴衣に着かえた。

部屋はたッた六畳敷きで、一間の押入れに置き床などがあって、古びた天井も柱もしっかりしていた。住居とはかけ放れた方の位置で、前はすぐ広い荒れた庭になっていた。崩れかかったような塀際に、大きな立ち樹が暗く枝葉を差し交していて、裏通りにも人気がなかった。浅山の話によると、ここはもと神田で大きな骨董商をしていた中村の父親の別邸で、今の代になってから、いろいろな失敗が続いて、このごろではこの家すら抵当に入っているということであった。芳太郎のお袋からも、少しは借りているような様子もあった。

この廃邸の空気は、お庄にはあまり居心がよくなかった。部屋で声を立てても、奥から駈けつけて来てもらえそうにも思えなかったし、庭も何だか陰気くさかった。こんなところで毎日芳太郎と顔を突き合わしているよりも、家で座敷の手伝いでもしていた方が、まだしも気が紛れてよかったようにも思えた。

深い木立ち際から舞い込んで来た虫が、薄暗いランプの笠に淋しい音を立てて周りを飛んでいた。お庄は帯を締めると、障子を閉てきって、暗い廊下の方へ出て行った。

だだッ広い茶の室では、大きな餉台がまだ散らかったままであった。