Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
十六
喧嘩ッぱやいと来たら大変なもんですよ。国で、気に喰わない先生を取って投げたなんて言ってますよ。」
お銀は甥が、この近所で近ごろ評判になっていることを詳しく話した。
「だけど、なにしろ友達が悪いんですからね。あなたもあまり厳しく言うのはお休しなさいよ。おっかないから。」
笹村の小さい心臓は、この異腹の姉の愛児のことについても、少からず悩まされた。
「僕もあまりよいことはして見せていないからね。」笹村は苦笑した。
「だって、十六やそこいらで、色気のある気遣いはないんですからね。」
笹村はしばらく打ち絶えていた俳友の一人から、ある夕方ふと手紙を受け取った。少しお話したいこともあるから、手隙のおり来てくれないかという親展書であった。
お銀は、体の工合が一層悪くなっていた。目が始終曇んで、手足も気懈そうであった。その晩も、近所の婦人科の医者へ行って診てもらうはずであったが、それすら億劫がって出遅れをしていた。
「私のこと……。」
お銀は手紙を読んでいる笹村の顔色で、すぐにそれと察した。
「きっとそうでしょう。」
十六
笹村は、寒い雨のぼそぼそ降る中を、腕車で谷中へ出かけて行った。