Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
七十二
腹のふくれた小さい患者は、今までにない健かな呼吸遣いをして、じきに眠ってしまった。
「さあ、私坊やの寝ているまに、ちょっとお湯へ行きたいんですがね。」
お銀はここへ来てから時を見計らっては来てくれるお冬に、時々髪だけは結ってもらっていたが、一度もお湯に入る隙を見出すことができなかった。
そこらを取り片着けてから、お銀が出て行ったあとの病室に、笹村はぽつねんと壁にもたれて子供の寝顔を番していた。そして疲れた頭が沈澱して来ると、そこにいろいろ始末をしなければならぬ退院後の仕事が思い浮んで来た。「退院するときあまり変な見装もして出られませんしね。」と言ってお銀の気にしていたことも考えられた。
お銀はつやつやと紅味をもった顔を撫でながら、じきに帰って来た。
七十二
退院後の家が、子供に珍らしかったと同じに、暗いところに馴れたお銀や笹村の目にも新しく映った。ふっくらした軟かい着物を着せられて、茶の間の真中に据えられた子供は、外の世界の強い刺戟に痛みを覚えるような力のない目を庭へ見据えていた。顔もまだ曇っていた。
もう退院してもよかろうかといって尋ねた笹村に、「そう。