Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

「わたしお雪さんところへ、しばらく行っていましょうか。」

お増は言い出した。

「とにかくここを出ようよ。見つかっちゃなにかと面倒だ。」

後をお今に頼んで、二人はそこを脱け出した。そして、用心深く通りまで出ると、急いで電車に乗った。電車は空いていた。そして薄暗い夜更けの町を全速力で走った。二人は疲れた体を揺られながら、お柳の気のつかないような家を、あれこれと物色したが、蒼い顔したお柳が、どこまでもへばりついて来そうに思えてならなかった。

「綺麗に手を切ってしまわなくちゃ駄目ですよ。」

お増は暗い目をしながら、言った。

手土産などをさげて、本郷の方のある友人の家の門を叩いたのは、もう十二時過ぎであった。その友人は、近ごろお千代婆さんのところで知合いになった、ある雑誌の記者であった。

「まあ大変おそく――。」婆さんの家で浅井の旧から知っていたその細君は、寝衣姿で出て来て門を開けた。そこにお増が笑いながら立っていた。蔭にいる浅井の顔には、寒さ凌ぎに途中で飲んだ酒の酔いがあった。

十九

夜のものなどの一向手薄なそこの家に、落着きのない一晩があけると、その午後浅井はつい近所に、当分お増を置くような下宿の空間を探しに出た。