Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
標準語のキネは後にできた語で単なる樹木のキと区別する必要からかと思うが、それを四国と中国の一部で、キノと謂っているのを見ると、元はキノヲであったことが想像し得られる。キノヲのヲは男の意で、臼を女と見立てての至って粗野なる異名であった。是と同じ思想は、今では擂鉢と擂木とが承け継いでいる。スリコギのコギは小杵であるが、八重山の島などでは是をダイバノブトと謂う。ダイバはライバンの訛ですなわち擂盆。ブトはヲットであるから擂鉢の夫ということに帰着するのである。横杵は大きいからアヲという土地もある。すなわちオホヲ、大なる夫の義であった。キネという語の国語として固定したのも、多分はこの横杵の採用の時以後であろう。とにかくに是に由って、且つ糯米の利用によって、粢で物の姿を作る必要は半減した。従うてまた手杵と舂女とはまったく閑になったのである。
我邦の農家の主要なる什具は、いずれも近世に入って色々の改良を受けたが、その中でも臼の系統にはほとんと革命とも名づくべき大変化があった。米の籾摺りにも一旦は横杵の使用があって、多くの城下町では粡町と称して、一区画をその作業の地に宛てていたが、程なく各農家が摺臼を使用することになって、玄米納租が行われ、粡町の必要はなくなった。