Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
その他フセンブチだのヒズキだのと、色々と変った名があるが、その意味はまだ私には説明ができない。ジロブチ・ジロンブチという語は島々にもあり、またジロという語のすでに忘れられた秩父地方などにもある。炉の四側の家の者が坐臥飲食する場所に、必ず総名のあるべきは当然で、それが佐渡のごときジロという語を知る土地でも、なお別にユリナタであったのである。佐渡のユリナタは山形県の最上地方ではユリバタ、信州の小谷ではヰルブチ、能登と加賀ではエンナタであった。私の想像では、是らの炉端を意味する語の、起こりはいずれもヰル(居る)という動詞にあった。ちょうど家の内の炉のある区劃をナカヰまたはジャウヰと謂い、出でて客と対する処をデヰと謂ったように、火に面した座席にもヰルから出た名があったのである。それがいかなる形であったかは断定し得ぬが、或いはヰルヰなどではなかったろうか。ヰルは坐ることであり、ヰは座席のことである。ヰルヰは最も早くユルイと変化し得たが、或いはまたヰルブチ、ユリナタなどであってもよい。とにかくにそれがまず行われて且つ意味が忘れられた後に、炉の火そのものをユリとかヰルと言うようになったので、従うて囲炉裏は甚だしい宛て字ではあるけれど、なおその裏の字にも若干の根拠はあったと言い得るのである。