Classiques japonais avec furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Lisez 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 177 586 caractères · 348 écrans
ただ社会の最も顕著なる現象として、ここで私が諸君とともに取扱ってみたいのは、第一には外国から持って来た文学の定義では、或いは包容しきれないような特殊の文芸が、どうして日本にばかり出現することになったのか。是は全然俳諧の道に遊ばぬ日本人にも、なお考えずにはおられない一つの不審である。第二には正風不易とまでたたえられた蕉門の俳諧が、発句ばかりをこの世に残して、その他は久しからずして振棄てられ、同じ流れを汲むという人々にすら、なお説明のできぬものになった理由や如何。この点もまた決して世の「古池や連」だけの問題ではないのである。それよりもさらに一段と現世的意義ある疑問は、この一見不可解なる前代遺物が、その存在という明々白々なる事実によって、何か是から世に出て行こうとしている日本の若き学徒に語らんとしているかである。手短に申すならば、俳諧はその芸術的価値以外に、いかなる文化史的価値を我々に供与するか。わからぬ人が仮に皆無と言っても、それは軽々に信じない方がよいのである。多くの大切なる科学は近世になって起こった。それが新たに唱えられるまでは、人は眼前に在るものをも無いのと同じにしか考えることができなかったのである。