Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Lisez 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) de 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 151 120 caractères · 302 écrans

Aozora Bunko

往きちがう人のなかには、不審そうな眼をするのもいた。

「よわったね……、あっ、チ、チキショウ」

「あら、どしたの」

「こいつ……」

喜村は、小犬の頸をつまんでポケットから吊り出すと

「此奴、とうとうやっちまった……どうも変だと思ったが……」

「あらやだわ、ポケットの中で?」

「うー、ズボンまで浸みて来る――」

喜村は、あわててオーバーの釦をはずしてハンカチで拭いていた。

「やな子ねえ……」

美都子の手の上で、小犬はまだ鳴きつづけていた。

と、その時、眼の前を歩いていた、小さい風呂敷包を持った、バーからバーを廻って歩く少年らしいのが、変にゆっくり歩き出したな、と思う間もなく、冷たいアスファルトの上に、ころんと横になってしまったのだ。

「あらっ」

美都子は、もう少しで小犬を取落すところだった。

「この児も」

喜村も、ハンカチの手をとめて、村田と顔を見合せた。

何か、真黒な悪魔の翼が、この帝都を覆っているような怖れを覚えた。

村田は、小走りで二三軒先きのタバコ屋に行くと

「一寸電話をかけてくれ、あそこに男の子が倒れている……」

三

幸い改札口もうまくパスして、新橋駅のホームに上ると、丁度小田原行の列車まで二分ぐらいの時間だった。