Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lisez 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 496 caractères · 368 écrans
「チェッ」
と彼は舌うちをした。
恋する梶子が憎い民弥へ、女だてらに、口説きかけ、それを民弥が受け入れたらしい様子を、隣りの部屋から隙見した彼は、気を悪くせざるを得なかった。
(今夜あたりあの二人め、ほんとにしっぽり濡れるかもしれない。チェッ)
とまたも舌うちをした。
(さてどうしたものだろう?)
冷えた茶を急須から茶碗へしぼり、不味そうに唇をぬらしながら、行燈の光でぼんやり見える、床の間の掛け物へ眼をやりながら、彼は考えに沈み込んだ。
他にとるべき手段はなかった。
今夜民弥を叩っ斬り、梶子と人形とを奪い取るばかりだ。
(そうだ)
と彼は考えた。
(気の毒だがこの宿へ火をつけて、火事だ火事だと騒がせて、その混乱につけ入って、手なずけ連れて来たあばれ者どもと一緒に、民弥たちの部屋へ乱入し、一気に目的をとげてやろう)
あばれ者どもはこの宿の附近の、馬借宿に束にして泊めてあった。
(あいつらに逢って手筈をつけよう)
で三十郎はノッソリと立ち、深い編笠をスポリとかむり、玄関の方へはかからずに、庭下駄を穿き庭へ出で、裏木戸をあけて外へ出た。
すすけた行燈のともっている、馬借宿越後屋の門口へ、三十郎が姿をあらわしたのは、それから間もなくのことであった。