Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lisez 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 496 caractères · 368 écrans

Aozora Bunko

と、行手からも火の手があがった。

桔梗屋からの出火の火の手であった。

往来はいよいよ混乱した。

逃げ迷う人々、家財道具を運ぶ、荷車などが右往左往した。これが義党の面々にとり、せめてもの有利の助けであった。

追って来る二藩の武士たちの数は、今は数十人になっていたが、道は狭く人混んでいる。で、一度にかかることが出来なかった。

が、義党の面々が桔梗屋の前まで走って来た時、心を寒くする出来事が、忽然として起こって来た。

焔と煙りとで包まれている、その桔梗屋の門口から、覆面をした一人の武士が、一人の女をひっ抱え、片手に抜刀をひっさげて、嵐のように走り出して来た後から、雲助や博労や浪人くずれらしい、数人の者によって大きな木箱が、家財かのように運び出され、その後から民弥が衣紋とり乱し、頭髪を乱し血相変え、抜刀を揮って追っかけて出た。――という意外な出来事であった。

兵庫は眼早く民弥を認めた。

「松浦氏そのありさまは?」

「鵜の丸殿か! 無念無念無念! ……宥免状入れました人形箱を……ご存知の刃三十郎と、其奴との一味の無頼の徒に、ウ、奪われ、ト、取られ! ……あれあれあそこへ担がれて行く箱こそ、人形箱にござります! ……女を抱えて走ってゆく武士こそ、刃三十郎にござります! ……攫われて行く女は梶子!」