Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lisez 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 185 496 caractères · 368 écrans

Aozora Bunko

「痒い!」

と思わず声を上げ、萩丸は床から立ち上がった。

が痒さは止まなかった。

数百の蚤が彼の体へ、一時にたかって刺すようであった。

腕から頸筋から背から肩から、ムズムズとはいり、シクシクと刺し、ピチピチと刎ねる気味の悪い、小動物の感触が、萩丸の心を狂わせようとした。

「ひどい蚤だ! どうしたんだ!」

萩丸は部屋中を駈け歩き出した。

蚤は益※(二の字点、1-2-22)数を増したらしく、頭髪にたかり眉にたかり、全身を掻き立てる萩丸の手の、十本の指にさえたかった。

萩丸は床をころげ廻った。

蚤は顔へも飛びかかった。

鼻の穴へ飛び込み耳の穴へ飛び込み、喚く口の中へさえ飛び込んだ。

「あッ」

と萩丸は声を上げた。

四方の壁を何物とも知れず、細長い動物がほとんど無数に、紐のように繋がって這っているではないか。音を立てずただウネウネと、壁に縞をなして這っている。

見る見る数が増して行って、壁は今にもその小動物に、全面を蔽われてしまいそうであった。

それは蜈蚣の大群なのであった。

と思う間もあらばこそであった。萩丸が茫然として佇んでいる床を、四、五寸ほどの小動物が、これも無数に右往左往しはじめた。