Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

こうなりゃ、いよいよ、わたしとしちゃ、帰る仕度をする以外にないじゃないか」

習慣のつよい力が、それだけで伸子と素子との日常生活を支配するようになった。二人はいつもと同じ時刻に前後して目をさまし、一つテーブルに向いあって茶をのみ、夜食のためにイクラや塩漬胡瓜を買いに出るのは、やっぱり伸子の役だった。

伸子のデスクの上に、ネチャエフの伝記がおかれた。素子は、ちょいと粗末なその古い本を手にとってみて、

「へえ」

と云った。

「こんな本、どうするのさ」

「その中から一部分を訳すってわけ」

「なるほどね、早速テストってわけか」

当惑げな伸子を素子は皮肉な目で見て、棗形の彼女の顔をうっすりあからめた。

「まあせいぜい奮励しなさい」

伸子の語学のおぼつかなさを、素子は知りすぎるくらい知っているのだった。

ネチャエフの伝記は、幼年時代の彼の生いたちから物語られていた。彼が人民の意志党員として従事した活動の詳細。スパイの発見とその処分。逮捕。ペテロパヴロフスク要塞における彼の生活。法廷におけるネチャエフのたたかい。伸子は、山上元が、この伝記のどの部分をとはっきり指示しないで、伸子に翻訳をたのんだことに困った。