Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

保を伸子から遠のけておくのは母の権利だと考えているのだった。それを思うと、伸子の眼の中に激しい抵抗の焔がもえた。多計代に母の権利があるというならば、姉である自分には、人間の権利がある。責任もある。保は人間らしい外気のなかにつれ出されなければならないのだ――。

伸子は膝の上からつくろいものをどけて、ちゃんと長椅子にかけなおした。そして日本からもって来ている半ペラの原稿用紙をテーブルの上においた。

「みなさんのよせがきをありがとう。今度はこの手紙を、とくべつ、保さんだけにあててかきます。わたしたちは、いつもみんなと一緒にばかり喋っていて、ちっとも二人だけの話をしないわね。なぜでしょう? 保さんのところには、わたしに話してきかせてくれたいような話が一つもないの? まさかそうとは思われません。姉と弟とが別々の国に暮していて、お互にどんなに本気で生活しているかということを知らせ合うのはあたりまえだし、いいことだと思います。もし保さんの方に、それをさまたげているものがあるとすればそれは何でしょう」

伸子は、こう書いている一行一行が多計代の目でよまれることを予期していた。