Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans

Aozora Bunko

進退のきわまった、という字がそのままあてはめられる川辺みさ子の、訴えようもなく、すがりようもなく苦悩する姿が、伸子のウィーンの下宿の窓際に見えるようだった。

川辺みさ子の黒く澄んだ眼は、どんなに暗澹とした闇をたたえて、彼女の下宿の室内を眺めまわしたことだろう。沈黙して、しかも何かを見ているような壁。無心に物を映す鏡のよそよそしいつめたさ――一九二九年の春の午後、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で癒したばかりの肝臓が疲れて重く、部屋にこもって、我ともなく追想にとらわれた伸子が眺めるウィーンのパンシオンの室の三方の壁は、やさしく地味な小枝模様の壁紙で貼られていた。壁の上の楕円形の鏡に金色の細ぶちが輝いて、二つのベッドの前に赤い小絨毯がおいてあった。

川辺みさ子がウィーンでくらした下宿というのは、どこのどんな家だったろう。そして、川辺みさ子の体が窓から落ちて横たわったウィーンの通りというのはどんな通りだったのだろう。伸子は生々しいようなこわい思いで、自分のすぐ横に開いている三階のひろい窓から外をのぞいた。天気のいい日が向う側の建物に照っていて、伸子の窓の下は、人通りのすくない横通りのペーヴメントだった。