Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どうひょう
道標
宮本 百合子
Lisez 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 846 457 caractères · 1672 écrans
歓楽の雰囲気があんまりおおっぴらで、横溢的なので、さすがの素子もその撩乱ぶりに圧倒されたようだった。おはこの花柳界じみた皮肉やわるじゃれをひとことも云わず、むしろ、おとなしくまじめになっている。そういうときの素子を、伸子は好きだと思った。皮膚に興奮したつややかさを漂わせながら、ひきしまっている素子の顔つきもよかった。
小一時間も二人が露台にいるうちに、あちこちに響いていた音楽の数はいつか減って、今は一番近所のどこかの街角で奏されているヴァイオリンとピアノばかりが祭の夜の最後の一曲を、という風に張った調子できこえて来る。
「寝ようか」
素子が露台から立った。
「ぶこちゃんもねるだろう?」
「ねるわ」
「…………」
何かためらっている風だった素子が、露台と室との境のところで、伸子の手をとった。
「じゃ、おやすみ、ね」
素子のその声には、思わず伸子を素子の方へつき動かす調子があった。伸子は、素子をかたく抱きしめて、自分の頬を素子の頬におしつけた。よろけかけてやっとふみとどまった素子の背中の骨の、いかにも細くかよわく彎曲した感触が、異様に伸子をうった。伸子の抱擁は次第にゆるんだ。