Classiques japonais avec furigana
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きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村
萩原 朔太郎
Lisez 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 038 caractères · 78 écrans
葱買て枯木の中を帰りけり
の心境するものは、悲哀や寂寥を体感しながら、実はまたその生活を懐かしく、肌身に抱いて沁々と愛撫している心境である。「侘び」は決して厭世家のポエジイでなく、反対に生活を愛撫し、人生への懐かしい思慕を持ってる楽天家のポエジイである。この点で芭蕉も、蕪村も、西行も、すべて皆楽天主義者の詩人に属している。日本にはかつて決して、ボードレエルの如き真の絶望的な悲劇詩人は生れなかったし、今後の近い未来にもまた、容易に生れそうに思われない。
葱買て枯木の中を帰りけり
枯木の中を通りながら、郊外の家へ帰って行く人。そこには葱の煮える生活がある。貧苦、借金、女房、子供、小さな借家。冬空に凍える壁、洋燈、寂しい人生。しかしまた何という沁々とした人生だろう。古く、懐かしく、物の臭いの染みこんだ家。赤い火の燃える炉辺。台所に働く妻。父の帰りを待つ子供。そして葱の煮える生活!
この句の語る一つの詩情は、こうした人間生活の「侘び」を高調している。それは人生を悲しく寂しみながら、同時にまた懐かしく愛しているのである。芭蕉の俳句にも「侘び」がある。だが蕪村のポエジイするものは、一層人間生活の中に直接実感した侘びであり、特にこの句の如きはその代表的な名句である。