Classiques japonais avec furigana
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きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村
萩原 朔太郎
Lisez 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 038 caractères · 78 écrans
広庭の牡丹や天の一方に
たちばなの昧爽時や古館
蕪村の詩としては
閻王の口や牡丹を吐んとす
が最も有名であるけれども、単なる比喩以上に詩としての内容がなく、前掲の句の方が遥かに幽玄でまさっている。句の表現するものは、夏の炎熱の沈黙の中で、地球の廻転する時劫の音を、牡丹の幻覚から聴いてるのである。
広庭の牡丹や天の一方に
前の句と同じように、牡丹の幻想を歌った名句である。「天の一方に」は、「天一方望美人」というような漢詩から、解釈の聯想を引き出して来る人があるけれども、むしろ漠然たる心象の幻覚として、天の一方に何物かの幻像が実在するという風に解するのが、句の構想を大きくする見方であろう。すべてこうした幻想風の俳句は、芭蕉始め他の人々も所々に作っているけれども、その幻想の内容が類型的で、旧日本の伝統詩境を脱していない。こうした雄大で、しかも近代詩に見るような幻覚的なイメージを持った俳人は、古来蕪村一人しかない。
たちばなの昧爽時や古館
五月雨頃の、仄暗く陰湿な黄昏などに、水辺に建てられた古館があり、橘の花が侘しげに咲いてるのである。「水茎の岡の館に妹と我と寝ての朝の霜の降りはも」という古今集の歌と、どこか共通の情趣があり、没落した情緒への侘しい追懐を感じさせる。