Classiques japonais avec furigana
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きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村
萩原 朔太郎
Lisez 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 038 caractères · 78 écrans
こうした同じ「心の家郷」を、芭蕉は空間の所在に求め、雲水の如く生涯を漂泊の旅に暮した。しかるにその同じ家郷を、ひとえに時間の所在に求めて、追懐のノスタルジアに耽った蕪村は、いつも冬の炬燵にもぐり込んで、炭団法師と共に丸くなって暮していた。芭蕉は「漂泊の詩人」であったが、蕪村は「炉辺の詩人」であり、殆んど生涯を家に籠って、炬燵に転寝をして暮していた。時に野外や近郊を歩くときでも、彼はなお目前の自然の中に、転寝の夢に見る夢を感じて
古寺やほうろく捨る芹の中
と、冬日だまりに散らばう廃跡の侘しさを咏むのであった。「侘び」とは蕪村の詩境において、寂しく霜枯れた心の底に、楽しく暖かい炉辺の家郷――母の懐袍――を恋いするこの詩情であった。それ故にまた蕪村は、冬の蕭条たる木枯の中で、孤独に寄り合う村落を見て
木枯や何に世渡る家五軒
と、霜枯れた風致の中に、同じ人生の暖かさ懐かしさを、沁々いとしんで咏むのであった。この同じ自然観が、芭蕉にあっては大いに異なり、
鷹ひとつ見つけて嬉しいらこ岬 芭蕉
と言うような、全く魂の凍死を思わすような、荒寥たる漂泊旅愁のリリックとなって歌われている。