Classiques japonais avec furigana
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あなんとじゅじゅつしのむすめ
阿難と呪術師の娘
岡本 かの子
Lisez 阿難と呪術師の娘 (あなんとじゅじゅつしのむすめ) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 425 caractères · 58 écrans
釈尊 ――(少し眼を瞬きながら)阿難よ。お前は恥辱の観念が、人間に取って、死よりも苦しみなのを知ったか。恥に攻められる人間は、冷たい死を寝床のようにも慕うものであることを知ったか。しばらくその儘辛抱するが宜い。その苦しみを奥歯でじっと噛み絞めるが宜い。そして、今お前が虐まれて居るその恥辱に、まともに向い合って呉れ。眼を外らすでは無いぞ。憐れみを乞うでは無いぞ。
阿難 ――師よ。何という情ない命令をお下しになられます。それはわたくしの心力ではとても及ばぬ所業なので御座います。熱湯は咽喉の熱さを我慢すればどうやら嚥み下す事が出来ます。然しこの恥ばかりは、焔の舌先に一々意地悪い曲りくねった鉤が付いて居て、もしこれに触れるものなら、心の皮膚は紫に爛れ込んで仕舞います。顔を振向けようも御座いません。お慈悲で御座います。御情で御座います。たった一言宥すと仰しゃって下さいまし。師よ、わたくしは悔に虐まれて、息が詰りそうなので御座います。
釈尊 ――阿難よ。仏は人々の持つ心力の程度を実の如く知ろしめし給う。今、お前に命ずる処のものは、お前に取って堪え得られる分際のものでしか無い。