Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
「誰じゃッ」
と、いきなり白絹の蒲団がパッとはねあがった。
その権幕のおそろしさと、まっ白な練絹の寝衣をきた重喜の相貌が、手雪洞のかげに別人のようにすごくみえたので、伊織がヒヤリとして腰をうかしかけると、重喜の目がジイとすわって、彼をそこへ居すくませた。
「と、殿様……」
とおののくのを、なお睨めつけていたと思うと、
「…………」
無言のまま、阿波守の白い手の先が枕元の蛍斬り信国の太刀へスーとのびて行ったので、もう、伊織はジッとしているにたえない。思わず、後退りに立ち上がろうとする。
とたんに、かれの白足袋が、そばに置いた手雪洞を踏みつけ、一道の灯かげが天井へ揺れたかと思うと、
「おのれ! 隠密ッ――」
抜き打ちに斬って、阿波守の手に、信国の太刀が呆然と持たれてあった。
「有村様ッ。あ、有村様――」
伊織は絶叫しながら錠口まで転げてきたが、すぐにバッタリと仆れてしまった。何かと驚いて、来あわせた者二、三人、森啓之助も飛んできて、太守の寝室へかけこんでみた時には、誰よりも早かった竹屋三位が、重喜を抱きとめながら、声に力をこめて何か叫んでいたが、重喜はまだ落ちつかない眸を光らして、