Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans

Aozora Bunko

周馬もお十夜も、なんだか嫌な気持になった。あまり正確な推理がそのあとから出るのが怖ろしく思えた。

「深いことはいわないが、叔父は水泳と船術の経験から、近海の潮流に詳しい。また、みずから海へ飛びこんだ程の弦之丞だから、必ず自信があったろう。相当にいける者なら、あの晩の波ぐらいは大したものではない。ことに隠密というものは、捕われるまでも決して自殺をしないものだ、拷問にたえ、恥をしのび、首を斬られる最後の一瞬まで、生きて命をまっとうしようともがく粘り気のあるところに、隠密の本分と、かれらの誇りがある。その辺はなみの武士のいわゆる最期の美とはよほど違う。だから、弦之丞も、お綱を引っ抱えて海へ入ったのは、おそらく、逃げるだけの自信があってしたことに違いないし、船も阿波の沖へ近づいていたといえば、かたがた油断はなるまいというのだ」

「けれど、もう五十日あまり過ぎた今日になっても、かれがどこに潜伏していたという知らせも、ないではないか」

「その代りに、かれの死骸がどこへ流れ着いたということも聞かない」

「そういえばそうだなア……」と周馬の声は溜息に似てきた。

吉運到来の歓喜は苦もなくぐらつきだした。