Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あだこ

あだこ

山本 周五郎

Lisez あだこ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 762 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

三十日は長すぎる、そうはかかるまい。そんなことを思い返しているうちに、半三郎は眠ってしまった。そしてその見知らぬ女に起こされたのだ。

「もしもし、旦那さま」と呼ぶ声がした、「もう午ですから御膳の支度をしましょう」

半三郎は夢をみていた。喰べ物の夢をみていて、その夢の中から、力ずくで引き出されるように、ゆっくりと眼をさました。するとすぐそこに、あの見知らぬ女が膝をついて、黒い笑顔でこちらを見ていた。

「午の御膳にしましょう」と彼女は云った。少女のようにうぶな、きれいな声であった。「お米やなにかはどこにあるんですか」

半三郎は舌で唇を舐め、それからいちど声を出してみたあとで、おもむろに云った、「そんな物はないよ」

「お米はないんですか」

半三郎は頷いた。

「では」彼女が訊いた、「どこかから仕出しでも取るんですか」

半三郎は首を左右に振った。見知らぬ女の黒い顔に、びっくりしたような表情がうかび、へえ、という大きな太息がもれた。

「いまお台所を見て来たんですよ」と彼女は云った、「お釜も鍋も錆びてるしお櫃は乾いてはしゃいでるし、埃だらけでごみだらけで、空き屋敷みたようでした、御家来もお端下もいないんですか」