Classiques japonais avec furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans
がある――輝水鉛を出す小黒部鉱山。と言っても、ひどい有様だ。小さな板屋と藁小屋が二、三軒だけ。上には、大窓から劔へ続く岩峰の一つが、大入道の頭をのし掛けている。まったくガリガリに荒けた肌の大岩瘤で、いちめん大刀で切っ殺いだような創、鋭いのみで抉ったかと思う痕だらけ、力が支離して、おのずと裂壊しようとするのを、堅鉄のたがでビッシリ締めつけている、といった観がある。
こうした山と、こういう雪とのあわいに、よく見れば、鉱山と称する塵芥のような建物が、しょんぼりとあり、さらに眼を凝らせば、蟻のような人影が、そこらをチロチロうごめいているのだ。時にはこの無気味な山のどこかで、火薬の音がする。イヤな音だ。少しでも山を壊すと思えば、決してよい気持ちはしない。しかしいかにも頼りなげな声だ。大きなものに圧倒されて、自滅しそうな声だ。その声みずから、――そんなに気にやむことはない……と語っているようでもある。騒々しいといえば騒々しいが、実はコソコソしたものなのだ。
騒々しいといったら、この辺の山水は、山水自体、実に騒々しいとも言えよう。岩は時を選ばず、ひとりでに崩れ落ちる。