Classiques japonais avec furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Lisez 三枚続 (さんまいつづき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 63 572 caractères · 124 écrans
随分派手を尽したのであるから、以前に較べてこの頃の不如意に、したくても出来ない師家への義理、紫の風呂敷包の中には、ただ清書と詠草の綴じたのが入っているばかりの仕誼、わけを知ってるだけに、ひがみもあれば気が怯けるのに、目の前に異彩を放つ山河内の姫が馬車に積んで来た一件物、お夏はまた一倍肩身が狭くなるのであった。
されば気の挫けた声も弱く、
(お暑うございます、)と手をついて挨拶して、ものもいってくれぬ師匠夫婦が気色のほどを伺うと、蛍の祟りがあるのでもないから、因縁事でもあるまいけれども、才子はその時も手にしていた深草形の団扇を膝の真中あたりで、じっと凝視めて黙っていたが、顔を上げると、何と思ったか、半白という上目づかいに、お夏の面をじろりと見て、
(ああ、暑うございますこと、勝山さんあなたお客様を煽いで下さい、私はちょいとあちらへ参りますから、)と畳へ団扇を辷らして、お夏の身近う突いて寄越し、(失礼を、)と姫にいって、そのままふいと座を立った。
お夏は聞正すまでもなく、疑うまでもない、明かに、ちょうど自分が居る背後から煽ぎ参らせよ、といわれたのである。