Classiques japonais avec furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Lisez 三枚続 (さんまいつづき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 63 572 caractères · 124 écrans
十五
(へん、ちゃぶ屋の姉さんじゃあるまいし、夜更にお客は取りませんからね、昼間寝たりなんかしませんよ、はい、憚様でございますよ、空いたのはそこに出してあら、)といいずてに伸をして、ふてくされてふいと立った。小間使はともあれ半季がわりの下働きは、上の弟子なる勝山さえを知らずして、その浴衣、その帯、その雪踏、殊に寝惚目なり、おひるに何か取ったらしい、近い辺の鳥屋の女中と間違えたのである。お夏は思わず、芙蓉の顔に紅を灌いだ。
飯炊が居なくなっては袴を穿いた例の書生が取次に出る場所ではない、勝手は分らず、啣えて振りつけられたような山出しのむく犬を、また呼び出そうという声は持たず、お夏は人いきれに悩んだごとくうっかりして彳んだが、我知らずうるんだ目の眦の切れたので左手を見ると、見透さるる庭の模様、百合の花にも、松の木の振にも、何となく見覚えがある、確に座敷から眺めの処、師の君は彼処にこそ。
お夏は身を忍ぶがごとく思いなしつつ。
十五
鳳仙花の、草に雑って二並ばかり紅白の咲きこぼるる土塀際を斜に切って、小さな築山の裾を繞ると池がある。この汀を蔽うて棚の上に蔓り重る葡萄の葉蔭に、まだ薄々と開いたまま、花壇の鉢に朝顔の淡きが種々。