Classiques japonais avec furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 241 861 caractères · 480 écrans
なので。
「若は御存知あるまいが、この者は、妻恋坂司馬道場の奥方、お蓮さまの侍女でござる。拙者は、先般この御婚儀の件につき、先方へ談合にまいった折り、顔を見知って、おぼえがあるのだ」
お蓮さまというのは、司馬老先生の若い後妻である。玄心斎の声を、聞いているのか、いないのか――黒紋つきの着流しにふところ手をした源三郎、壁によりかかって、その剃刀のように鋭い顔を、ニコニコさせて、黙っている。
「その妻恋坂のお女中が、何しにこうして姿をかえて、君の身辺に入りこんでおるのかっ? それが、解せぬ。解せませぬっ」
怒声をつのらせた玄心斎、
「女ッ! 返事をせぬかっ!」
「うらないをしてもらっておったのだよ」
うるさそうな源三郎の口調、
「なあ女。余は、スス、水難の相があるとか申したな」
おんなは、ウフッ! と笑って、答えない。
「爺の用というのは、なんだ」
と源三郎の眼が、玄心斎へ向いた。
「司馬の道場では、挨拶にやった門之丞を、無礼にも追いかえしましたぞ。先には、あなた様を萩乃さまのお婿に……などという気は、今になって、すこしもないらしい。奇っ怪至極――」
「女ア、き、貴様は、どこの者だ」