Classiques japonais avec furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 340 187 caractères · 666 écrans
出て行った栄三郎の涙と、残っているお艶のなみだと――。
父は早く禄を離れて江戸の陋巷にさまよい、またその父を失ってから母とも別れて、あらゆる浮き世の苦労をなめつくしたお艶にとっては、義理の二字ほど重いものはないのだった。刀の分離といい弥生の悲嘆といい、すべては栄三郎が自分を想ってくださることから――こう考えるとお艶は、おのが恋を捨てても! と一図に決して、さてこそあの、裏で手を合わせて表に毒づくあいそづかし……お艶も江戸の女であった。
何刻かたった。
お艶はじっと動かない。
眠っているのだ。
泣きくたびれて、いつしかスヤスヤと転寝におちたお艶、栄三郎がいれば小掻巻一つでも掛けてやろうものを。
まわりまわりの小仏さん
まわりまわりの小仏さん
隣では子供が遊戯にふけっている。
と、がらりと格子があいて、ひさしぶりに天下の乞食先生蒲生泰軒のだみ声だ。
「わっはっはっはっは! こりゃ、敷居が高い、御無沙汰、御無沙汰!」
びっくりはね起きたお艶の頬にたたみのあとが赤くついていた。
まんじ巴
その夜。
どこをどう歩きまわったものか、栄三郎は頭から肩まで白いものを積もらせて瓦町の家へ帰って来た。