Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
(像を置いて、両手で耳をおさえながら俯伏す。)ええ、これでも聞える……。
(おいよは再びマリアの像を取りながら、物に引かるるように縁を降りる。)
おいよ ええ、今夜もやっぱり……。いや、行ってはならない。出てはならない。これほどにサンタ、マリアを念じても……。神様は救って下さらないのか。わたしの罪が深いのか。(持ったる像を地に投げ捨て、砧の前へゆきて槌を取る。)ええ、執念ぶかい狼め。鬼め、悪魔め、畜生め。啼くな。啼くな呼んでくれるな。
(おいよは眼にみえぬ物を追い払おうとするように槌をふりまわし、髪もみだれて姿もしどけなく、筵の上に狂い倒れる。奥よりお妙出づ。)
お妙 (みまわして驚く。)あれ、姉さん……。(縁をかけ降りる。)もし、どうしました。もし、姉さん……。
(おいよは答えも無しに倒れている。お妙は不安そうに、あたりを見かえる。)
お妙 さっきから聞いていれば、姉さんは独りで物に狂っているような……。私の耳には何んにも聞えないが、姉さんには何が聞えるのか。もし、姉さん。どうしたのです。
(お妙は気味悪るそうに近寄って、おいよをかかえ起そうとすれば、それを振払うように、おいよは屹と起き直りて、二人の顔と顔とが向き合う。