Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
采女は先ず双ヶ岡を心ざして、ゆき逢う人々に問いただしながら急いでゆくと、果たしてそこの庵主から姫がたった今帰ったことを聞いた。どこで行き違ったのかとあやぶみながら、すぐに又引き返して、芒原をかき分けてゆくと、ゆう靄の底にほの白く漂う尾花の袖隠れに、笠一つが沈んでゆくのを微かに見付けたので、彼は息を切ってそのあとを追った。
すすき尾花をがさがさとゆする音におどろかされたらしく、笠の影はしばらく其処にたゆたっていると、采女はやがて追い付いた。
「姫、おわさぬか。」
笠のぬしは果たして小坂部であった。
「采女。迎いに来てたもったか。」
「姫のお行くえが俄かに知れぬとて、お館ではうろたえ騒いで、殿は密々に八方へ手分けして……。」
「それは笑止じゃ。」と、姫はほほえみながらも眉を寄せた。「双ヶ岡とは名を聞いているばかりで、さのみ遠くもあるまいと思うていたに、女子の足は甲斐ないもの、多寡が一※(「日+向」、第3水準1-85-25)と思うたを二※(「日+向」、第3水準1-85-25)あまりも費して、皆にも要らぬ苦労をかけた。それにしてもさすがはそなたじゃ。双ヶ岡とはよう心付きましたの。